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肩関節・肩甲骨身体の仕組み(機能解剖学)

肩関節と肩甲骨の機能解剖学:肩甲上腕リズム・回旋筋腱板・五十肩

肩は4つの関節の協調で動く。腕を上げるときの肩甲骨の動き、インナーマッスル(回旋筋腱板)の役割、五十肩の経過。

肩は、人の体で最も大きく動く関節です。その大きな動きは、一つの関節ではなく、複数の関節と肩甲骨の協調によって生まれています。肩こりや「腕が上がらない」悩みを理解するには、この仕組みを知ることが役立ちます。

1. 肩を作る4つの関節

関節 つながる骨 特徴
肩甲上腕関節 肩甲骨と上腕骨 一般に「肩関節」と呼ばれる。受け皿(関節窩)が浅く、よく動くが不安定。
肩鎖関節 肩甲骨(肩峰)と鎖骨 肩の上の出っ張りの部分。
胸鎖関節 鎖骨と胸骨 腕と体幹をつなぐ唯一の骨どうしの関節。
肩甲胸郭関節 肩甲骨と胸郭 骨どうしの関節ではなく、筋の上を肩甲骨が滑る「機能的な関節」。

つまり腕は、鎖骨と胸鎖関節を通じてしか骨格につながっておらず、残りは筋によって胸郭の上に吊り下げられています。肩まわりの筋が常に働いているのはこのためです。

2. 肩甲上腕リズム

腕を横から真上まで上げる(約180°)とき、その動きは肩甲上腕関節だけで起きるのではなく、肩甲骨も上方へ回旋します。インマンら(1944)は、全体の動きのおよそ2対1の割合で肩甲上腕関節と肩甲骨が動くことを示し、これを肩甲上腕リズムと呼びました(比率は動きの範囲や個人によって変わります)。

肩甲骨の上方回旋は、主に僧帽筋(上部・下部)と前鋸筋の協調で起こります。肩甲骨の動きが乏しいと、腕を上げたときに上腕骨と肩峰の間で組織が挟まりやすくなるという考え方があり、肩の痛みとの関連が研究されています(Ludewig & Reynolds, 2009)。ただし、肩甲骨の動きの違いが痛みの原因なのか結果なのかは、まだ結論が出ていません。

3. 回旋筋腱板(ローテーターカフ)

肩甲上腕関節は受け皿が浅いため、深いところにある4つの筋が上腕骨の骨頭を受け皿に引き付けて安定させています。

  • 棘上筋:腕を横に上げる動きの始めに働く。腱板断裂が最も起こりやすい。
  • 棘下筋・小円筋:腕を外にひねる。
  • 肩甲下筋:腕を内にひねる。

腱板の損傷は加齢とともに増え、痛みのない高齢者にも画像上の断裂がしばしば見つかります。夜間の痛みや、腕を上げる途中で痛む(有痛弧)場合は、医療機関での評価が勧められます。

4. 五十肩(凍結肩)

中高年に多い、肩の痛みと動きの制限が起きる状態で、医学的には肩関節周囲炎、凍結肩(frozen shoulder)とも呼ばれます。関節包に炎症と線維化が起き、関節包が縮んで硬くなることが主な変化と考えられています。

時期 特徴
炎症期(痛みの強い時期) 安静にしていても痛み、夜間痛が強い。無理に動かすと悪化しやすい。
拘縮期(固まる時期) 痛みは落ち着くが、動きが大きく制限される。
回復期 徐々に動きが戻る。

多くの場合、時間とともに改善しますが、1〜2年以上かかることもあり、一部の人では制限が残ります。痛みの強い時期に強い力で動かす施術は避け、医師と相談しながら、時期に合った運動を行うことが勧められます。糖尿病のある人では起こりやすく、長引きやすいことが知られています。

5. 肩こりとの関係

いわゆる肩こりは、肩関節そのものより、首から肩甲骨にかけての筋(僧帽筋上部、肩甲挙筋など)の張りや痛みを指すことがほとんどです。肩甲骨は筋で吊り下げられているため、腕を前に出した作業を長時間続けると、これらの筋が働き続けることになります(「肩こり・首こり」の記事を参照)。

参考文献

  • Inman VT, Saunders JB, Abbott LC. Observations on the function of the shoulder joint. Journal of Bone and Joint Surgery. 1944;26(1):1–30.
  • Ludewig PM, Reynolds JF. The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2009;39(2):90–104.
  • Neviaser AS, Neviaser RJ. Adhesive capsulitis of the shoulder. Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons. 2011;19(9):536–542.
  • Neumann DA. Kinesiology of the Musculoskeletal System. 3rd ed. Elsevier; 2017.

本記事は一般的な学術情報の解説であり、診断や治療の代わりにはなりません。強い痛み、しびれ、発熱、排尿・排便の異常、急な脱力などがある場合は、まず医療機関を受診してください。

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