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整体・手技療法の種類整体(日本の手技療法)

日本の「整体」の成り立ちと主な流派:療術・野口整体・操体法・カイロ系

大正期の療術ブームから戦後の法制度、野口整体・操体法など代表的な流派の考え方と、現在の整体院の多様さ。

「整体」は、特定の一つの療法を指す言葉ではありません。日本で生まれた手技、欧米から入った手技、武術の活法などが混ざり合ってできた、資格を必要としない手技療法の総称です。本稿では、その成り立ちと、名前が知られている主な流派の考え方を整理します。

1. 大正・昭和初期:「療術」の時代

明治政府は西洋医学を中心とする医療制度を整え、伝統的な療法の多くは制度の外に置かれました。大正から昭和初期にかけて、カイロプラクティックやオステオパシーが米国から紹介されると、それらと日本の按摩、柔術の活法、民間の健康法が混ざり合い、さまざまな手技療法が生まれました。当時これらは「療術」と総称され、多くの団体と流派が乱立しました。「整体」「整体術」という言葉が広まったのもこの時期とされています。

2. 戦後:法律の外に置かれた手技

1947年に「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」(現在のあはき法の前身)が制定され、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅう、柔道整復は資格制度のもとに置かれました。一方、療術については、制定時にすでに届け出て営業していた人に限り一定期間の継続が認められる経過措置がとられ、新しい資格制度は作られませんでした。

その後、1960年の最高裁判決により、人の健康に害を及ぼすおそれのない医業類似行為は禁止されないという解釈が示されました。現在の整体院の多くは、この解釈のもとで営業しています(詳しくは「日本の手技療法と資格・法律」の記事を参照)。

3. 主な流派と考え方

流派・系統 創始者・由来 考え方の特徴
野口整体 野口晴哉(1911–1976) 身体には自ら整おうとする力があると考え、施術者が「治す」より、その働きを引き出すことを重視する。人の体の癖を12種に分ける「体癖」論、手を当てる「愉気」、自然に起こる動きに任せる「活元運動」が知られる。
操体法 医師・橋本敬三(1897–1993) 体を動かして「気持ちのよい方向」「楽な方向」を探し、軽い抵抗をかけてから脱力させる。痛い方向へ無理に動かさないことを原則とする。
カイロ・オステオパシー系 米国の手技を日本で取り入れたもの 関節の可動性に着目し、関節を動かす手技を用いる。各記事を参照。
筋・筋膜系 マッサージ、筋膜リリース、トリガーポイントの考え方など 筋や筋膜への圧迫・伸張を中心とする。
骨盤・姿勢矯正系 民間で発展した各種の手技 骨盤や背骨の「ゆがみ」を整えると説明する。説明の多くは科学的な裏付けが乏しい(「腰椎と骨盤の機能解剖学」を参照)。
運動指導系 理学療法・トレーニングの考え方を取り入れたもの 施術に加え、体操や生活習慣の指導に時間を割く。

4. 野口整体の考え方をもう少し詳しく

野口晴哉は、体の不調を「悪いもの」として取り除くのではなく、体が自分で調整している過程と捉えました。たとえば風邪を「体を整える働き」とみなす考え方は、著書『風邪の効用』で広く知られています。体癖論は、体の使い方や重心のかけ方の癖から人を分類するもので、体と心の傾向を結び付けて説明します。これらは野口の臨床経験から体系化されたもので、医学研究として検証されたものではありません。一方で、「施術者に依存せず自分の体の感覚に注意を向ける」という姿勢は、現代の運動療法やセルフケアの考え方とも通じる部分があります。

5. 操体法の考え方をもう少し詳しく

操体法は、仙台の医師・橋本敬三が、民間の手技療法家の技術を観察し体系化したものです。体を前後・左右・ひねりなどの方向に動かしてみて、楽な方向・気持ちのよい方向へ動かし、その位置で軽く抵抗をかけてから一気に脱力させます。この手順は、オステオパシーの「マッスルエナジー・テクニック」や「カウンターストレイン」と似た点があり、痛みを避けながら筋の緊張を緩めることを狙う点で共通しています。

6. 現在の整体院を選ぶときの見方

  • 「整体」の看板だけでは、施術内容は分からない。どの系統の手技を使うのか、事前に確認する。
  • 国家資格(あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、理学療法士など)を持つ施術者が整体院を開いている場合もある。資格の有無は質問してよい。
  • 「一回で治る」「骨格を根本から矯正」など、効果を断定する説明には注意する。

参考文献

  • 野口晴哉『整体入門』ちくま文庫, 2002(初版1968).
  • 野口晴哉『風邪の効用』ちくま文庫, 2003(初版1962).
  • 橋本敬三『万病を治せる妙療法:操体法』農山漁村文化協会, 1977.
  • あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)
  • 最高裁判所大法廷判決 昭和35年1月27日(刑集14巻1号33頁)

本記事は一般的な学術情報の解説であり、診断や治療の代わりにはなりません。強い痛み、しびれ、発熱、排尿・排便の異常、急な脱力などがある場合は、まず医療機関を受診してください。

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